彼のことで覚えていること
巷の噂になってる訳じゃないけれど
ときどき聞かれる[彼]のこと
名前はジョジョ
17年前にうちへ来た時からそう呼ばれてる
ジョジョは沖縄からやって来た
オキナワの どこだったっけなあ
ああ 思い出せないけど
人里離れたあたりにぽつんとあった
奇麗な布や小物を売っているような店だった
なにかいい予感に誘われて
ふらっと店に入ったとたん
もう目が離せなかった この男の子
ハンケツですし
ソウルの巨匠ジェームスブラウンみたいなヘアスタイル
なんかありえない
そしてダイスキっておもった
「これ、いくらですか!」
満面の笑顔でわたしは尋ねたとおもう
幾らだって買っちゃうさ そんな気持ちだったとおもう
ところが返ってきた応えはなんて無情
「あ、それ、売り物じゃないんです。。」
ああ、だめだ、この旅自体が楽しくなくなっちゃいそう
連れがビンテージアロハの布をウキウキと物色しているけれど
わたしはもう。。
気持ちがモロに顔に出ていい時と悪い時があるならば
この時は完全にヨカッタらしい
よっぽどわたしが落胆まるだしだったのでしょう
連れが選んだ布のお会計をしている時に
その店の方は言いました
「そんなに気に入ってくれたなら、差し上げますよ!」
びっくりしました
売ってくれたんじゃないんです
くれちゃったのです
こんな 一度手放したら二度とは見つけられないような
ハンケツの ハデパンの チリチリの黒い男の子を
くれちゃったのです
そしてジョジョと名づけられた彼は
わたし自慢のボーイになったわけです
たまにね、この時のことを思い返して、考えちゃうんです
わたしは「おねだり側」じゃなくて
わたしは「差しだし側」にもちゃんとなれているのかなって
んんー
ホームページの撮影をしなくちゃと思った時に
なぜかずっと前から決めてたように
フレームの真ん中にいたのはジョジョにまつわる想い出でした
彼のことで覚えていること