スープが照れてます
こんな世の中になるなんて思ってもみませんでした。もの凄い勢い
でこの世の料理たちは写真に撮られてる。日本全国で1日何枚平均?
想像つかない。たぶん猫や犬や子供の写真よりも多いかも。ごはんの写真。
料理のアップ。Facebookの世界では「料理の写真」がもうひとつの共通言語みたい。
食べることって凄いなあとあらためて思う。
「わあ、美味しそう!」って撮る人。とりあえずなんでも撮る人。見せたくて撮る人。
写真じょうずだねって言われたくて撮る人。自分で作る時の参考に撮る人。
「美味しかったから撮っておこう!」って、それだけは出来ない。
そこにあったものはすべて胃袋へと移動しているから。
先日、13名分の料理をひとつの土鍋でどーんと出した時は笑ってしまった。
まるで記者会見みたいだったんだもの。
オーブンの機嫌がつかめなくてサーブが遅れてしまったぶん、土鍋オープンと
ともにどよめきが起き、次の瞬間、全員がケイタイ片手に鍋を取り囲んだのだ。
「チラッと見える赤いものはなんですかっ」「かすかにインド的な匂いがしますねーっ」
そんなことを口走りながら、ちょっと興奮状態で写真を撮る人々。その様子をへらへら
眺めていて「あれっ」と思った。もしかしたら食べる前にこうして写真を撮るという
所作は料理をちょっとうわ乗せして美味しくしているのかも知れない。ああんもう早く
食べたいのに写真とらなくっちゃって自らお預けで。正直言えばそれまでどちらかといえば、
冷めちゃうから早く食べて欲しいなあ。。って思うほうだった私。ちょっと気持ちが変わりました。
なのでこの頃は「あ、暗い?ライトつけましょうか?」なんて言いながら、
撮影風景を楽しんで見ています。
でも、なーんかこそばゆい感じがするのは変わらないですけどね。
この写真は『りんごのポタージュ』。
トッピングには薄くスライスしたカラスミとフレッシュなディル。
おみやげにもらったカラスミが残っていて、
どちらかというとそれを使いたくて思いついたスープです。
《材料》
紅玉りんご、ふじ、セロリ、生姜、鶏のスープ、ライム、
酒、塩、ナンプラー、生クリーム、胡椒、オリーブオイル
鶏のスープは鶏もも肉とネギやセロリのしっぽ、薄切り生姜、酒、
塩少々と水を鍋に入れて沸騰しそうになったら静かな火にして20分くらい。
鶏の味が濃いスープがとれて、鶏も別の料理にして美味しく食べられて好きなやり方です。
スープが照れてます