桜開花宣言の日
古いお家の片付けを手伝っていて見つけた塗りのお弁当箱。
けっこう大きいの。蓋も素敵でこんなの見たことないって嬉しくなって、
パチってきました。って言ったら話が面白くなりそうな気がするけど、
家主に正式にお願いして頂きました。6個です。
これを使いたくて使いたくてチャンスをうかがって来たものの、
それが案外なかなかないのです。6名分のお昼ごはん、
よし来たってはりきってラフスケッチまで書いて準備していたら
「すみません、ひとり分増やしてくださーい」っていうことが2回。
で、今回は5名分ということで、
一人増えてもまだ大丈夫というかなり実現性の高い状況だったにもかかわらず、
ほんと前日まで心のどこかで「どうせ、ね」って思っていましたよ。
そしてとうとうデビューです。
最後まで変更なく5名様!
ラフスケッチというか設計図を見ながら忘れ物がないように詰めていく。
なんだろう、この楽しさとこの緊張感は!
思いつきの成り行きまかせっていうかラフなムードで押し切る私の料理スタイルに、
一瞬ムチを入れるようなこの作業。
そんなことを胸のなかで喋りながら最後の木の芽を乗せ終わってカメラを覗いたら、
なんだ、そんなにキチンとしてないや。
直線美はあきらめて曲線美でいきますね、
これからもずっと。
お弁当を届けて晴れ晴れとクルマに乗り込めば、
夏のような熱を閉じ込められた車内。着ていたダウンベスト!
を剥ぎ取るように脱いだら「東京に今日、桜の開花宣言が出ました」とラジオから。
早かったなー。それじゃあ私も宣言しよう。
本日わたくしはお弁当制作史上、最高に質のよい牛肉を使いましたと。
冷めても柔らかくジューシーであるように祈りをこめて!
少し残してあるんだ、お家へ帰って味見しようっとってヘラヘラしながら、
かぶっていたニット帽を剥ぎ取った春の一日。
あらためて今日のお弁当の中身を振り返ると、
無意識のうちにどこかお花見弁当ふうになっているものなのですねと気がつきました。
早すぎる開花宣言も身体はすでに知っていた模様。
3種類の豆を炊き込んだ酢めし。
ヒラメの昆布締め、柚子胡椒と白ごままぶし。
牛肉とネギの甘辛煮。紅生姜。木の芽。干し椎茸煮。
厚焼き卵のフライ、人参のソース。スナップエンドウ茹でたの。
太刀魚の梅しそ&アスパラ巻き焼き。
ホタルイカとなばなの蕗味噌あえ。焼き人参。
桜開花宣言の日