茶系のおかず
どんな食べ物が好き?って聞いたら、
間髪いれずに「茶系ですね」と答えた人がいる。
わっ!と思った。
聞いた状況は賄いを並べている時、
聞いた相手はいっしょに働きはじめてまだ3日目のアルバイトの女の子。
タケハーナをやっていた時の話です。
新しい人が入ってくると、決まってこの質問をしていたけれど、
たいていはみんな少し曖昧なニュアンスを残しながらの答え方。
同じ質問を私が聞かれてもきっとそうだ、
そう簡単には答えられないよって、
そんな質問しないでよって顔をするかも知れないし。
それでもこの質問をするのは、残った食材を使って作る賄いだけど、
そりゃあ好みの感じに寄せてあげたいじゃない?という理由。
それが「茶系」。
パシっとひとこと茶系!
たしかそのあと彼女はこう言った。
「ごはんが進むんですよね」
私もそんなふうな切り口で、自分の好みを言い切ってみたいものだ。
残った食材を使って疲れた身体にムチ打ってごはんに合うように作るおかずは、
ほうっておけばどれも茶色になりがちで、
それがなんだか切なくて小花柄のテーブルクロスを敷いたりしてたけど、
この夜はとっても彩りのない料理がとても頼もしく見えたものです。
彼女だったら、お弁当だって茶系でOKかな。鰻や生姜焼き、牛丼弁当。
OKでしょう。進む、すすむ。
だけどやっぱりちょっと紅生姜や焼いたシシトウ、欲しくないですか?
彩りのためだけに入っているのではなく、というところが肝心なんだけど、
それがとてもむずかしい。
ミニトマトにすべてを押しつけるのではなく、パセリに逃げるのでもなく。
実はこのところお弁当づくりが続いて色に悩まされていたら、
久しぶりに「茶系」の彼女のことを思い出したのだった。
京都駅の伊勢丹B2で買ったお弁当。新幹線で食べました。
綺麗で丁寧で美味しくて。
茶系のおかず